胆振地方で保護猫活動をしている「ニャン友ねっとわーく室蘭」のブログです。里親募集中の猫や譲渡会のお知らせを掲載しています。
 蛇口、壊れてます。
2014年07月05日 (土) | 編集 |
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 動物愛護の世界では、よく「蛇口を閉めないと悪循環はとまらない」という言葉を耳にします。
『蛇口』とは主に、無計画に飼い犬・飼い猫を繁殖させ、飼いきれないからと捨てる人を指します。開きっぱなしの蛇口からは、命がジャージャーと保健所という名の小さな『器』に流れこんできては溢れる、を繰り返しています。溢れた命はどこへいくのか───殺処分という過酷な現実が待つだけです。

 私たち「ニャン友ねっとわーく」は、不幸にも保健所に入れられてしまった猫たちを1匹でも多く救いたい一心で、もともと個人で保護活動をしていたメンバーが集まり形となりました。現在では猫の引き出しや運搬、保護場所の提供などそれぞれができる範囲で協力しあい、保健所や振興局のお手伝いをさせていただいています。
 収容期限を迎えた猫を再譲渡目的で引き出し、ボランティア仲間のネットワークを通じて新しい飼い主を見つけたり、地元の室蘭・登別・伊達近郊や札幌で飼い主探しを目的とした譲渡会を開催して、今までに何匹もの猫たちに新しい家を提供してきました。

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 昨今の新聞やテレビなどで「犬猫の殺処分数は年々減り続けている」と取り上げられたり、「殺処分ゼロ」を謳う自治体が取りざたされるなど、動物愛護の気運が高まっているかのように思えます。事実、処分される犬猫の数は10年前に比べると数の上では3分の1近くになりました。
 でも「殺処分が減った」といってもまだまだ多くの動物が飼い主に見放されて処分されています。その多くが飼い主自らが保健所に持ち込む子猫です。長年ともに暮らした家族同然のご長寿猫が持ち込まれることもあります。
 保健所の猫たちには平均して1週間前後、短い場合は数日という命の期限があります。生まれたばかりの子猫は自らエサを食べることもできず、多くの自治体では即日処分の対象になります。大人の猫ももらい手がつきにくく、ほとんどが新たな飼い主にめぐりあうことなく、期限がくれば炭酸ガスや薬剤によって殺処分されます。

 全国にはいまだに、収容された猫の再譲渡を行っておらず、猫が入ってくれば処分するしかないという自治体も少なくありません。そんな中、北海道では「新しい飼い主探しネットワーク事業」という取り組みを行って、1匹でも処分される犬猫を減らそうと奮闘されています。
 保健所に入ってくる犬猫と飼育を希望する道民とのマッチングを行う取り組みですが、まだまだ周知が足りず、知らない道民も多いでしょう。そして、収容数の少ない犬を希望する道民は多く、逆に収容数が桁違いに多い猫を希望する申込者がなかなかいない、というジレンマもあります。
 昔から野良猫は家のまわりに何匹もいました。「今、家で猫を飼っている」とおっしゃる方の何割かは、家と外とを自由に行き来できる環境で飼育されていることでしょう。「保健所に入ってくるような猫を、わざわざ手間暇かけてもらうことはない」という風習と心情が受け皿を狭め、処分されると分かっていて幼い命を保健所に持ち込む人たちの心の垣根を低くしています。
 昨年、改正された動物愛護法では「元の飼い主による不当な飼育放棄」による保健所への持ち込みを拒否できるようになりました。しかし「不当な飼育放棄」なのか「やむを得ない事情」なのかというのはきわめて判断のつきにくい問題で、保健所では法律が変わった後も受け入れざるを得ないのが現状です。むやみやたらと拒否ばかりをしても、帰り道にその猫が車が行き交う車道や山奥に捨てられるかもしれないのです。

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 でも、けして「仕方なく受け入れている」だけではありません。以前は衰弱して死ぬのを待つしかなかった乳飲み子でも、今では職員の方たちが懸命にお世話をして命を繋いでくれています。
 つい先日、室蘭保健所に一度に24匹の子猫が集まりました。さまざまな理由で持ち込まれた何組ものきょうだいたちです。
 保健所や振興局の方たちの尽力や、飼い主探しページの告知方法の工夫(子猫たちのかわいい動画が掲載されました!)などが功を奏し、当ニャン友ねっとわーくで引き受けた3匹を除き、すべてが譲渡に至ったと聞きました。
 猫の出産シーズンを迎える初夏以降は、一度にたくさんの子猫が持ち込まれます。行き場をなくした猫たちを片っ端から助けたいのはやまやまですが、保護できる頭数には限りがあります。
「今預かっている子のもらい手を早く探さないと、次の猫を受け入れる枠が空かない」
 いつもいつも綱渡りですが、夏場は子猫の数が多く常にてんてこまいです。てんてこまいは秋まで続き、秋から冬にかけては大人猫の収容が子猫を上回ります。それはどうしてか分かりますか? もちろん猫が出産する季節が限られていることが最大の原因ですが、日に日に気温が下がる秋口に、もし子猫が生まれたとしても生きられないからです。庭先で子猫が鳴いていても「どうせ死ぬのだから」とわざわざ保健所に持ち込んだりしないからです。
 旭川では「地域猫運動」が始まったと聞きました。しかし雪深い北海道で、たとえ定期的にエサをもらったとしても、いったい何匹の猫が冬を越せるのでしょう。

 次から次へと保健所へ持ち込まれる猫をなくすためになにをすべきなのか、私たちはこう考えます。
 まずは家で飼っている猫には避妊去勢手術をして、不用意な出産をさせないこと。絶対に外へ出さないこと。エサを与えている野良猫がいれば、最低でも避妊去勢をして、できれば家の中で飼ってあげること。飼えないのなら飼い主を捜してあげること。
「手術がかわいそう」とおっしゃる方の話をよく聞きますが、猫の避妊去勢手術は発情によるストレスをなくし、将来に渡る生殖器系の病気のリスクを減らします。
「エサをあげているけどうちの猫じゃないわ」とおっしゃる方。あなたの与えるご飯で命を繋いでいるのならそれは立派にあなたの飼い猫です。

 イギリスやドイツなどと比べて動物愛護後進国といわれる日本がようやく重い腰を上げました。2020年の東京オリンピック開催年に向けて、諸外国に恥じることのない国にしたいと環境省が「殺処分ゼロ」の方針を打ち出しました。
 著名人の愛護活動が一段とさかんになり、2つの愛護団体が新たに産声を上げました。

杉本彩氏
「一般財団法人動物環境・福祉協会Eva」

滝川クリステル氏
「一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル」

 それでもまだ、毎日のように全国で猫が殺され続けています。自ら飼い猫を持ち込むだけにとどまらず、「家の近所で拾った」「母猫がおいていった」とまだ乳が必要な子猫が持ち込まれます。
 歩きもおぼつかなく、母親のおっぱいを求めて鳴く子猫を、いったいどんな気持ちで持ち込むのでしょう。
 長年ともに暮らして自分をいやしてくれた温かな身体を、どうして小さなキャリーケースに押し込めて人里離れた場所に捨てられるのでしょう。
 もちろん、小さな命を粗末に扱う人、保健所に処分を丸投げして罪の意識を抱かない人は論外ですが、受け皿となるべき新しい飼い主候補の意識を高めていくこともまた、私たちが目指していることです。

 動物愛護先進国では、ペットの生体販売、つまりペットショップで犬猫を小さなガラスケースに入れて陳列し、商品として売っているような国はほとんどありません。大きな利益を生むペットビジネスには、利益を優先するあまり無理な繁殖をさせたり、幼い子犬子猫の生育環境への配慮不足などの暗部がつきまといます。
 まずは「お金で命をやりとりすることがおかしい」と知って欲しい。そして「保健所にいる期限のある命の受け皿になってほしい」と願っています。
「保健所にいる、処分間際でがけっぷちの猫を救いたい」と思い立ちましたら、ぜひ当「ニャン友ねっとわーく」にご連絡ください。ご自分ひとりでは保健所の敷居が高い、あるいは保健所が苦手で1人ではいけない、などと感じられるなら、微力ながらお手伝いさせていただきます。

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 私たちは「今日もまた猫が入ってくるかもしれない」月曜日が怖いです。「残っていたら処分されてしまう!」連休前が怖いです。
 この気持ちは保健所の職員さんも同じです。いえ、私たちよりもずっとずっと胸を痛めることでしょう。毎日ご飯をやり、ケージを清掃して、世話を続けてきた子を自らの手で処分しなければならないとしたら? 考えただけでも胸が張り裂けそうです。
 誰ひとりとして処分したくてしている人はいません。そして今、北海道の各保健所はいまだかつてないくらいがんばってくれています。施設が手狭で収容頭数が限られる中、収容期限を可能な限り延ばし命を繋いでくださっています。時には乳飲み子に授乳をし、衰弱死を防いでくださいます。
 すべての責任は「保健所に持ち込む人」にあります。その人たちが考えを改めてくれれば……! と願う間もなく次から次へと猫が保健所にやってきます。

 平成24年度に全国の保健所などで処分された犬猫は全部で16万1867匹。そのうち猫の処分数は12万3420匹。全体の数字の8割近くが猫です。単純計算で338匹の猫が毎日毎日処分され続けていることになります。なおも驚くことに、保健所に持ち込まれる猫の10匹のうち9匹が生きてそこから出られないのです。
 猫を欲しい人。猫を欲しい人を知っている、という人。ペットショップから買おうとしている人に「保健所にもかわいいのがいるよ」と耳打ちしてくれる人。保健所から引き取った猫を一時的にでも預かれる人。飼い主探しのために開催する譲渡会をお手伝いしてくださる人。私たちの願いと、北海道の「新しい飼い主探しネットワーク事業」を広めてくれる人。
「無責任な飼い主」という、壊れた蛇口から溢れてくる命の水滴を一粒でも多く掬い上げるために力を貸してください。ひとつひとつは小さな行為でも、たくさん集まればたくさんの命を助けることができます。どうかよろしくお願いいたします。
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